矯正歯科
第19回日本睡眠歯科学会報告
第19回日本睡眠歯科学会が私の同級・東京医科歯科大学睡眠外来長の秀島雅之先生が大会長となりWEBにて、2020年11月21日(土)~22日(日)開催されました。この学会にて私が『中枢性無呼吸混在型OSA患者・Lip incompetence(口唇閉鎖不全)による就寝中口呼吸患者の無随意呼吸の特徴 ―過換気呼吸と睡眠時無呼吸・口呼吸との関係―』という演題にて発表を行いました。当院にて矯正治療をお受けになった患者や睡眠時無呼吸症患者でマウスピース製作の依頼のあった患者の呼吸状態の調査研究発表であり、2年前の病巣疾患研究会での発表に続き、日本国内にて呼吸生理学に基づいたこのような内容の発表は初めてのことだと思います。
中枢性無呼吸は何らかの疾患と考えられてきましたが、今回の調査で、通常の呼吸が過換気であり、それをリセットするためのホメオスタシスである可能性が示唆されました。また口呼吸が常習化している患者も過換気呼吸が常態化することが判明しました。
第9回国際矯正歯科会議世界大会・第79回日本矯正歯科学会学術大会報告
第9回国際矯正歯科会議世界大会並びに第79回日本矯正歯科学会学術大会が2020年10月4日(日)~6日(火)までWEBによるバーチャルで開催されました。2020年は東京オリンピックの延期・緊急事態宣言による休校・WEB学会など、ウィズコロナの年として記憶に刻まれる年となりそうです。今回のWEB会議は1か月ほど視聴が可能なため、聞き漏らすことがなく何度でも聞くことができ多くの有益な情報を手に入れることができました。台湾のChris Chang は私が最も尊敬する矯正歯科医ですが、今回は上顎頬骨弓付近への2X12mmのアンカースクリューの埋入方法①とそれを利用した症例紹介でした。私もこの埋入部位を以前から探し求めているのですが、いまだに見つけられていません。日本人には無理なのかもしれません。ドイツのBenedict Wilmes は上顎口蓋正中にスクリューを埋入し歯列をあらゆる方向に移動させるためのさまざまな装置②の紹介を行っていました。このアイディアは参考になりましたが、今回の国際矯正歯科学会においても、下顎の遠心移動をおこなえる手法の紹介は皆無でした。私の考案した歯槽骨外頬棚へのアンカースクリューの埋入は世界に誇れる素晴らしい手法である事を改めて実感しました。
Flavia Arteseが紹介した低位舌の程度と開口歯列の状態の関係③は今後の当院での治療にも大変参考になる発表でした。
第78回日本矯正歯科学会報告
2019年11月20日(水)~22日(金)まで長崎ブリックホールにて第78回日本矯正歯科学会が開催されました。①
(矯正臨床におけるCAD/CAM技術の活用)(歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正治療を再考し、今後を展望する。)(あなたの抜歯の考え方は?)(過去の難症例・再治療症例から学ぶ未来への戦略的矯正診断・治療)以上のようなテーマで議論がなされました。
②のような難症例をどのように矯正治療していくのか、当院でもとても悩ましい患者が激増しており、最後のテーマのシンポジストの嘉ノ海龍三・米澤大地・菅原準二先生のお話が大変役に立ちました。
今年も講演の合間に学術展示と症例展示を見て回り、さらにすべての専門医試験合格症例展示に目を通してまいりました。 長崎の歴史に触れ、佐賀県での柿右衛門焼き・鍋島藩お抱えの伊万里焼を堪能し、朝鮮出兵の際築いた名護屋城跡を見学し、福岡から茨城空港へ帰ってまいりました。
写真は坂本竜馬と私の2ショットです。③
第6回日本病巣疾患研究会総会・学術集会報告
2018年8月25日(土)26日(日)新橋ヤクルトホールにて開催されました日本病巣疾患研究会にて、(現代人の無随意呼吸は過換気傾向にあり、習慣的口呼吸はそれを憎悪させる)というタイトルにて医院長が発表をおこないました。この学会は当医院の矯正治療にて最も大切にしている鼻呼吸に大変関心の高い医療関係者が集まっています。口呼吸の呼吸生理学的問題点を科学的に証明した発表であり、国内は基より国際的にも価値ある発表だと自負しております。今後歯科関係の学会にてさらに詳細を発表していく予定でおります。
また当医院での矯正治療では、歯並びの改善とともに鼻呼吸治療を取り入れた全身状態の改善を積極的に取り入れて行く所存です。檀上右上で医院長が発表しております。
第77回日本矯正歯科学会報告
2018年10月30日(火)~11月1日(木)までパシフィコ横浜にて第77回日本矯正歯科学会が開催されました。
30日のサテライトセミナーでは、小児の口腔機能発達不全症に関し、小児歯科教授の木本茂成氏並びに田村文誉女史が講演をなされました。お二人とも残念ながら小児の系統発生学的特徴を理解していないため、今日の日本における小児の問題の根本的原因が早期離乳食にあることに気づいていないようでした。最低でも1年間は母乳と人工乳のみで育てること、その後おしゃぶりを3歳ころまで使わせれば、異常嚥下・アトピー・喘息は半減するはずです。
31日は昨年に続き、埋伏歯の問題に関しての臨床セミナーが開催されました。
嘉ノ海龍三先生が上顎犬歯埋伏歯と歯小嚢・上顎洞形態・顎顔面形態との関連性について、詳しい解説がありました。さらに大坪邦彦先生による第二大臼歯第三大臼歯の重積状水平埋伏症例の症例報告があり、当院でも同様の症例を丁度終了したばかりでしたので、興味深く聞くことができました。
最終日は日本韓国のジョイントミーティングにて上下顎前突の治療に関して講演がありましたが、当院の治療の方がはるかにレベルが高く、興味を惹くものではありませんでした。
むしろBegg法やJarabag法が50年前にどのように導入されたのか、その事情をお話いただいた大野粛英先生
の講演に興味をそそられました。今年も講演の合間に学術展示と症例展示を見て回り、さらにすべての専門医試験合格症例展示に目を通してまいりました。
第76回日本矯正歯科学会報告
2017年10月18日(水)~20日(金)までさっぽろ芸文館、札幌市教育文化会館にて第76回日本矯正歯科学会が開催されました。
札幌にいくのは2回目ですが、今回初めて茨城空港からスカイマークにて水曜日の夕刻市内に入りました。
木曜日は埋伏歯の診断と背景ということで私が学生実習でお世話になり、現在北海道大学教授であります飯田順一郎先生による講演から始まりました。それに続き稲毛滋自先生の上顎犬歯埋伏に起因する切歯歯根吸収の早期診断方法のお話がありました。
当院でも現在多くの学童期患者に同様の上顎犬歯萌出障害が認められ、大変参考になりました。
それに続き特別講演として、テキサスA&M歯科大学教授 Peter H.Buschang氏による、Hyperdivergent(長顔面高)上顎前突患者の治療に対する新しいアプローチ法の解説がありました。アンカースクリューを用いて大臼歯を圧下し、下顎を反時計回りに回転させ下顎を前方に誘導させようとするものです。私もこの考え方には賛成です。
またシンポジウムにおいて中華民国歯顎矯正学会会長のEric Liou氏による顔面非対称に対する治療方法の解説がありました。2年前にも紹介されたYin-Yang wireは私も使用してみたいのですが、いまだに手に入れることができません。台湾にいかないと買うことができないようです。
金曜日は午後から鶴見大学の中村芳樹教授と神奈川歯科大学の不島健持教授による咬合崩壊症例や歯周病症例に対する包括歯科治療としての矯正治療の在り方のセミナーを受講しました。 講演の合間に学術展示と症例展示を見て回り、さらにすべての専門医試験合格症例展示に目を通してまいりました。
第75回日本矯正歯科学会報告
2016年11月7日(月)~20日(水)まで徳島県・アスティとくしまにて第75回日本矯正歯科学会が開催されました。
前日から徳島に入ろうと考えておりましたが、ホテルがすべて満室のためやむなく和歌山市内にあります泥湯温泉で有名な花山温泉にて1泊し、早朝カーフェリにて鳴門海峡を横断し、徳島に入りました。
今回も歯科矯正用アンカースクリューを利用した上顎歯列弓の遠心移動や大臼歯の圧下に関するシンポジウムやポスター発表が多数ありましたが、下顎歯列全体の遠心移動や大臼歯圧下の報告は皆無のようです。
また長崎大学の『モーションキャプチャーを応用した6自由度顎運動計測システムを用いた多点同時解析』は今後人での応用が期待される研究発表でした。
講演の合間に学術展示と症例展示を見て回り、さらにすべての専門医試験合格症例展示に目を通してまいりました。
徳島で食べた鯛の刺身は鳴門の渦潮にもまれた絶品でした。翌日1日歴史博物館にて徳島の歴史を勉強して、帰ってきました。
第9回国際インプラント矯正歯科学会(world implant orthodontic conference )報告

2017年7月2日~4日まで神戸コンベンションセンターにて開催されました国際インプラント矯正歯科学会(WIOC)に出席してまいりました。今回の学会は久しぶりに私自身が大いに刺激を受けた学会でした。

これまで下顎前突患者(上顎劣成長)の場合、下顎の成長を抑制することに主眼がおかれた治療がなされてきましたが、インプラント矯正の進歩により劣成長の上顎を正中から広げ前方に成長させることが、手術なしに可能となってまいりました。写真のような装置を使うのですが、そのパイオニアであるDr,Won Moon やDr,Benedict Wilmes の講演とセミナーを聴講することができました。今後当院でもこの治療法を採用してまいります。

韓国では大変有名なDr, Cheol-Ho Paikの著書が販売されていたので早速購入しましたところ、ご本人がお見えになりサインをいただき記念写真を撮っていただきました。
第74回日本矯正歯科学会報告

2015年11月18日(水)~20日(金)まで福岡国際会議場・マリンメッセ福岡にて第74回日本矯正歯科学会が開催されました
今年は多忙のため初日の(歯科矯正用アンカースクリューを固定源とした埋伏歯・萌出困難歯の外科的萌出)というタイトルのサテライトセミナーには残念ながら参加できませんでした。当院でも永久歯が完全埋伏した患者が増加傾向にあり大変大きな問題だと認識しております。

木曜日は成長期の矯正治療の意義や目的・有効性に関して嘉ノ海龍三・黒田和斗・両先生によるセミナーが開催されました。
当院の最も力をいれている分野でありまた得意分野でもありますが、学童期には骨格や筋肉の不調和を改善し、舌位を整え気道を広げ喉頭蓋を立てることの重要性がかなり認識されだしたように感じました。
今年の学術展示におきましても多くのアンカスクリューを使用した矯正治療法が発表されましたが、そのすべてが上顎の口蓋を使用したもので、いまだに下顎の有効な埋入方法の発表は皆無です。
いよいよ当院の医院長が考案開発した歯槽骨外頬棚を利用した埋入方法の発表を矯正歯科学会にても行おうかなと考えております。
当院のホームページの矯正歯科の非抜歯症例紹介欄やインプラント矯正のページには歯槽骨外頬棚を利用した症例を続々と掲載しております。
MOOセミナー&日本非抜歯研究会報告

10月23日(金)~24日(土)に大阪にて開催されましたMOO(Molar Oriented Orthodontics)セミナーと25日(日)~27日(火)に併催されました日本非抜歯研究会に参加してまいりました。

2011年秋、『非抜歯矯正治療 Molar Oriented Orthodonticsの実際(医歯薬出版社刊)』を出版されました、有本博英・賀久浩生・篠原範行先生のお三方が主催されている研究会です。
私もこの本を読んで今回参加しましたが、日本におけるいくつかある非抜歯矯正治療の流れの中の一つの大きな流派だと認識しております。
この本は非抜歯に関する先達の、ノーマン=セトリン、ラファエル=グリーンフィールド両師の業績を凌ぐ1冊だと思います。

セミナーは有本博英先生のイースマイル矯正歯科の広い待合室で行われましたが、写真でもご覧のようにモダンな内装と明るいスタッフに囲まれて非常に雰囲気の良いオフィスで、見学するだけでも勉強になりました。
セミナーの内容もこれまでの私の考え方と合致するため、すべての治療法を、すでに取り入れているかこれから取り入れられる物でしたので、大変参考になりました。
カリエールディスタライザー研修会報告
2月15日(日)東京で開催されましたカリエールディスタライザー研修会に参加してまいりました。
昨年の日本矯正歯科学会にて私も実物を手にして、使いやすさと当医院の矯正システムとの相性が良いとの判断から上顎前突の患者様にすでに使用を開始しております。
講師の賀久浩生先生は大臼歯の位置に重点を置いた非抜歯矯正治療という専門書を執筆なされた先生であることを、この研修会で初めて知りました。
私はまだこの専門書を読んではいないのですが、当医院の矯正哲学と近い考えのような気がします。
当医院ではアドバンシンクとカリエールディスタライザーと当医院で考案しました歯槽骨外頬棚への歯科矯正用アンカースクリューの3種の神器を使用した上顎前突治療を行ってまいります。
デーモンシステムセミナー報告

2015年1月21(水)・22日(木)東京品川にて開催されました星野亨先生のデーモンセミナーに出席してまいりました。
当医院にて使用している矯正装置の中心となるシステムがデーモンシステムですので、これまで約10年に亘る星野亨先生のセミナーはほぼすべて受講してまいりました。
特に何か新しい知見を期待していたわけではありませんでしたが、やはり今回もいくつかの有益なヒントを手に入れることができました。
現在はこのシステムを中心にそのほかさまざまの技術を組み込んでおり、当医院のオリジナル矯正といっても過言ではない程の進化を遂げております。
その内容をそろそろホームページにも反映していくつもりです。
今年最初の研修会でしたが、エネルギーを十分充電できました。
第73回日本矯正歯科学会報告

2014年10月20日(月)~22日(水)まで幕張メッセにて第73回日本矯正歯科学会が開催されました。
今回は大会長である葛西一貴先生の企画力の素晴らしさが際立った大会でした。
臨床セミナーでは上顎前突患者の共通症例を設定し、3名の先生に診断・治療に対する考え方・戦略を講演いただきました。

今後も多様な治療法をお持ちの先生方の戦略を講演いただきたいと思いました。
4年ぶりとなる日韓ジョイントミーティングでは「Treatment for patients with vertical problems」をテーマに日本・韓国それぞれ3名の先生による歯科矯正用アンカースクリューを使用した歯列の垂直的コントロール法を講演いただきました。

内容も素晴らしいものでしたが、韓国代表の3名の先生がすべて英語での講演には恐れ入りました。
韓国のCheol-Ho Paik先生は今後世界的にも注目される矯正歯科医のお一人と思われます。
また藤原琢也先生が紹介なされた愛知学院大学オリジナルの治療メカニクスは大変ユニークなもので、当医院でも取り入れて行こうと考えております。
教育講演では池田和己先生が「顎関節の診断に基づく矯正歯科治療」と題した講演を行いました。これもまた大変興味深い内容で早速27,000円もする著書を購入いたしました。
今回は講演内容がすべて私にとって、タイムリーで有益なものでした。
バイトジャンピングアプライアンスセミナー報告
2014年2月23日品川にて機能的顎矯正装置・バイトジャンピングアプライアンスセミナーのセミナーに参加してまいりました。
今回のセミナーでは開発者の子息であるChristian Sander氏が基本講演を行い、さらに日本で日ごろからBJA装置を使用し効果的な治療を行っている里見優先生をはじめ3名の先生方から症例を紹介していただきました。
ツインプレートタイプの機能的顎矯正装置であるBJA(bit Jumping Appliance)は特徴として
- 開口時でも構成咬合がとれ、常時筋機能力が利用できる
- 装着時に会話可能
- 上下拡大ネジ付きで歯列拡大可能
- レジン添加で構成咬合が簡単に調整できる
などがあります。混合歯列期の顎矯正治療としては、他に多数ある装置と比較しても効果の高い治療方法であることがわかりました。
当医院におきましても、使用頻度が高くなるものと予測されます。
Inter-Arch Treatment Mechanics ClassII Treatment 矯正セミナー報告
2014年1月22日~23日新宿にて開催されました、今年最初のセミナーに出席してまいりました。
講師のRichard McLaughlin先生はこの分野では非常に有名な方で、ご自身が考案したブラケットや治療のためのVTOと呼ばれる分析法は世界的にも大変普及しており、確立された治療方法だと考えております。
わたしの治療方法とは違う点がかなりありますが、大変参考になりました。
また4名の日本人矯正歯科医の症例報告がなされましたが、皆様すばらしい治療内容で感心させられました。
ゴムメタルを使用した生理的機能咬合に基づく矯正治療セミナー報告
11月9日(土)、10日(日)お茶の水にて開催されましたロッキーマウンテンモリタ主催、白数明義先生講演のセミナーに出席してまいりました。
7月のゴムメタルワイヤー開発者の長谷川先生のセミナー同様、シークエンシャル咬合理論に基づいてゴムメタルの特性を生かし矯正治療を行っていくものです。
ウィーン大学名誉教授のProf. R. Slavicekの理論に基づき咬合平面を再校正して矯正治療を行っていくという点では全く同じお二人ですが、ワイヤー屈曲法は全く違っており驚きました。今後お二人のワイヤー屈曲法の利点欠点を検討して取り入れて行きたいと考えております。
私自身は小児歯科の咬合誘導というヨーロッパ学派の矯正治療法から矯正を始めたせいもあり、基本的な考え方は多くの点でうなずけるものでした。
第72回日本矯正歯科学会報告
2013年10月7日(月)~9日(水)まで松本市にて第72回日本矯正歯科学会が開催されました。
開催初日はアルプホーンでのお出迎えを受け、高原松本市に来た実感が湧きました。
歯科矯正用アンカースクリューの薬事承認が昨年ようやく日本でもなされたことで、安全使用に関するシンポジウムが開催されました。特に成人矯正の仕上がりを確実にさらによりよくするための必須アイテムになってきております。
また特別講演にて、Sheldon Peckはこれまでの100年の矯正治療の変遷を俯瞰的に説明し、今後の矯正治療における抜歯比率は20~40%で推移していくだろうと述べておりました。学術展示においては、長谷川信先生のゴムメタルを使用した新たな機能矯正装置の開発に興味を惹かれました。当医院でも来年の薬事承認を待って取り入れて行きたいと思います。毎回時間が足りず見たいものをすべて見尽くすことができないのが残念ですが、これから1年の勉強課題を十分探すことができました。
新素材GUMMETALワイヤーで変わる矯正治療コンセプトセミナー報告

7月14日(日)、15日(祝・月)お茶の水杏雲ビルにて開催されましたロッキーマウンテンモリタ主催、長谷川信先生講演の新素材GUMMETALワイヤーを使用した矯正治療のセミナーに出席してまいりました。
豊田中央研究所が2003年に開発したGUMMETALは名前が示す通りゴムのような弾性を示しながら何度でも折り曲げることができる摩訶不思議な金属です。実際にセミナーにてワイヤーの屈曲や切断を試してみましたが、これまでに経験したことのない感触でした。このワイヤーを矯正治療に応用することで、矯正治療のコンセプトが大きく変わることは確かなようです。当医院にても現在使用しております治療方法との比較検討を行いながら、メリットが大きいと判断した治療に関しては取り入れて行きたいと考えております。
アドバンシンクIIセミナー報告
3月7日品川カボショウルームにおきまして、竹内豊先生、田隅泰三先生のお二人による下顎を前方へ成長促進させる装置、アドバンシンクIIのセミナーが開催され、出席してまいりました。この装置を開発された、Dr,Terry Dischingerはこれまで3度来日されており、当医院でも2度目の来日の際直接Dr,Terry Dischingerに質問をさせてもらい、使用を開始いたしました。この装置を使用して矯正治療を行った第一号の患者様が間もなく治療を終了しますので、その素晴らしい結果をホームページでご紹介したいと思います。
いつもお世話になっております竹内先生の症例報告や、ユーモアに富んだ田隅先生のお話など、多くのヒントをいただくことができました。
第6回国際会議IFUNA平泉大会報告

2012年10月25日(木)~29日(日)まで奥州平泉の隣の一関にて開催されました第6回国際会議IFUNA平泉大会に出席してまいりました。
この会議はヨーロッパ学派の矯正治療法を研究目的としており、日本の多くの矯正歯科医が取り入れているアメリカ学派の矯正治療法とは大きく違っています。
筋の機能力を利用する機能療法は、「全身を見て治療を行う」という東洋医学の発想と似ております。機械的な歯の移動や排列の手法をとるアメリカ流とは異なり、主にヨーロッパでは生物学的な歯の整形学に理念をおいてきました。とくに成長発育期において咀嚼や嚥下、発音、呼吸の機能の発達と成熟を促し、早期の介入によって不正咬合の発生を予防したり不正咬合の程度を軽減したりします。

当大会は「東洋と西洋が融合する機能療法」をテーマに、矯正歯科治療の機能的側面を研究するとともに、それらの情報を共有するため、国際的なネットワークを構築し、矯正歯科医や顎顔面領域の治療に関わる人々との交流をはかることを目的として開催されました。
Dr. Marie-Josephe DESHAYESによれば、非対称的歯列不正は脳頭蓋底や蝶形骨の非対称性とも深く関係しているとのことです。

また今回の会議において私が30年前矯正学を学びました、母校の三浦不二夫・東京医科歯科大学名誉教授の基調講演があり懐かしく大変ためになるご講演でした。
4日間の会議の合間に中尊寺を訪ねてまいりました。
中尊寺金色堂のすばらしさは言うまでもないことですが、高台から見える風景もまた素晴らしいものでした。
夏草や 兵どもが 夢のあと
Dr,Chris Farrell セミナー報告
2012年10月7日・8日 東京コンファレンスセンターにてDr,Chris Farrell セミナーが開催されました。
今回のセミナーは2月に行われましたDr,John Flutter のセミナーのアドヴァンスコースのようなものです。
嚥下機能障害が歯列不正や顎顔面の成長に及ぼす悪影響についてかなり詳細な解説がなされました。
当医院では10年以上前からこれに関する情報をホームページや来院されるお子様のご両親には説明してまいりました。
正常な嚥下機能が備わっていないと、人間が生きていく上で最も大事な鼻呼吸が正常に行えなくなります。
いま日本の子供たちの約半数が正常な嚥下・鼻呼吸ができないという危機的な社会状況となっております。
ではその原因はどこにあるのでしょうか。日本における一番の原因はズバリ母乳期間が短すぎることにあると考えております。
現在乳児をお育てのお母様、そしてすべての女性の方に申し上げたいのは
赤ちゃんの頭にある大泉門が完全に骨化するまでの約2年半は
母乳を続けてほしいということです。お乳がでないということでやめてしまうお母様が多くみられますが、
お乳が出る出ないということより、吸綴行為をさせることの重要性をぜひ理解してほしいということです。
どうしても哺乳瓶を使用しなければならないときには、
ベッタベビーの哺乳瓶の使用をおすすめします。
第71回日本矯正歯科学会報告
2012年9月26日(水)~28日(金)まで盛岡市にて第71回日本矯正歯科学会が開催されました。
当医院でも最近急増しております上顎犬歯の埋伏、異所萌出にどのように対応すべきかという嘉ノ海龍三先生のご発表や、昨年に続き態癖の歯列不正に与える影響で講演をされた筒井照子先生のご発表が眼を引きました。
また学会の全体の流れとして、呼吸機能と舌位と歯列不正に関する発表が目立つようになってまいりました。
歯列不正を改善し、上顎の幅径を広げ舌位を上げ咽頭気道を拡大し十分な流量の空気を鼻から呼吸することが、いかに重要であるかの認識が学会全体に広がってきたように思います。
この夏に日本でもようやく矯正治療用としてのミニスクリュウ(矯正用インプラント)が認可されました。
これに関する発表もかなりありましたが、どれも内容としてはあまりパッとしません。
インプラントの埴立部位があまり良くないので、次回の日本口腔インプラント学会にておすすめの埴立部位を発表しようかなと思っております。
盛岡の冷麺はとてもおいしく昼食に2杯食べてしまいました。
Dr,Terry Dischinger セミナー報告

2012年6月28日、29日、品川プリンスにて Dr,Terry Dischingerのセミナーが開催されました。今回が日本での3回目のセミナーとなりますが、私はすべてのセミナーに参加しております。
彼の考案した下顎を前方へ誘導する矯正装置を当医院でも使用を開始しており、その結果の素晴らしさは実感しております。
ただ残念なことにまだ日本の薬事認可が取れていないためアメリカの技工所に直接注文しなければなりませんでしたが、この夏には認可が取れるということなので、随分便利になると思います。
今回のセミナーで初めて実物の展示がなされていましたが、かなりの改良がなされているようです。
この夏ロンドンオリンピックが開催されますが、実はDr,Terry Dischingerは前回の1960年ロンドンオリンピックのバスケットボールの金メダリストで、MBLアメリカプロバスケットボールのベストプレイヤーを9年連続受賞した経験のあるすごい方なのです。
前回来日された際、東京リーガロイヤルホテルの喫茶店にてお会いしましたが背丈の高さに驚きました。聞くところでは2m07cmあるそうです。 日本では竹内豊先生や、星野晃先生もすでに使用を開始されているようなので、情報を交換しながら彼の提唱する full face orthopedics(顎顔面矯正)を実践していこうと思っております。
Dr,John Flutter セミナー報告
2012年2月11~12日品川プリンスホテルにてDr,John Flutter のセミナーが開催されました。
顎口腔周囲筋のバランスを作り直していくことで、歯並びさらには顎顔面の形態を創造していく治療方法です。
日本でも最近ムーシールドといわれるマウスピースを使用した矯正治療が行われていますが、これのパクリです。この治療方法の長所は口呼吸が改善され、口腔周囲筋のバランスが整い長期に安定した咬合を手に入れることができることです。逆に短所は患者様自身の努力を必要とし、患者様に装置(マウスピースのようなもの)を装着してもらえないと全く効果があらわれないことです。日本でこの治療方法を広めるのは正直なかなか難しいとおもいますが、当医院ではオリジナルプログラムの中にこの治療方法を組み込んでいます。
Dr,John Flutterはもともとイギリスに住んでいたのですが、ランドローバーで大陸を横断しオーストラリアにたどり着き、そこに永住したそうです。
第70回 日本矯正歯科学会&国際会議報告
2011年10月17日~20日名古屋国際会議場にて第70回日本矯正歯科学会が開催されました。私は18日から20日まで主席いたしました。
18日はあまりに早く着きすぎてしまい会場にはまだだれもおらず、金の鯱が目に飛び込んできました。今回も3日間みっちり勉強してきましたが、一番印象的だったのは当医院が以前から力をいれているMFT(口腔筋機能訓練)をメインのテーマに3人の衛生士さんにスピーチをしてもらったことです。
日本の矯正歯科業界も今後骨から筋肉へ、静的な分析から動的な分析を重視した治療へと変化していくのではないでしょうか。一番広い会場が満席でした。
また今回宿泊したホテルのそばに資生堂の店舗があり、そのポスターをガラス越しに眺めながら気の付いたことがあります。皆様口腔周囲筋のバランスが非常によく、鼻呼吸が確立していることです。やはり健康と美とは表裏一体のものだということを強く感じて帰ってまいりました。